Ⅰ 駆除から救われたドバト(カワラバト)の子育て記録
ハトの観察結果を簡単に3つの観点でまとめました。
① 人間がヒナをだっこして、14分後に親鳥がハトミルクを与えに来たよ!
校務員さんは、大型ハト巣箱を掃除する時などに、ヒナをだっこします。
これまで「人間がヒナを触ると、匂いがついて親がヒナの世話を放棄する」という
説もありましたが、それを否定する考えも多く、少なくとも本校のハトの場合は、
人間によく慣れていて、当てはまりませんでした。校務員さんがヒナをだっこして、
14分後に親鳥が、ハトミルクを与えに戻ってくる様子を、設置カメラで記録する
ことができました。
7/23 14:47 校務員さんのヒナだっこ(←クリックして動画を見てください)
7/23 15:01 14分後に、親鳥(♂)がハトミルクを与えにきたよ(←クリック)
②ハトの子育て
ハトは他の鳥と違い、食道の”そのう”にためた「ハトミルク」を与えて
ヒナを育てるようで、その様子が確認できました。(ミルクといってもミルク状に
なっている物質ということで、哺乳類のミルクとは異なります。)
親鳥のくちばしの横から、2羽のヒナが争うようにくちばしを突っ込んで、
飲もうとしているのが映っています。その時、親鳥は上下に頭を動かして、
吐き戻すような感じでハトミルクを与えています。
ハトは雌雄両方で、ハトミルクを与えて子育てをしていることも確認できました。
最初に記録された上の動画(7/23 15:01)に映る親鳥は、体が少し大きくて、
鼻の白いこぶも大きいので、雄のようです。
後に出てくる動画(7/26 10:47)に映る親鳥は、体が少しだけ小さくて、鼻の白い
こぶもやや小さいので、雌です。(ハトミルクを与える様子は、あとの7/26の動画の
方がわかりやすいので、ぜひそちらをご覧ください。)
B君の撮ったヒナの写真(7/24)
私達がこれまでよく観察してきたヤマガラやシジュウカラの場合、親鳥は頻繁に
えさを運び、えさを与えたあと、糞をくわえて飛び立ちました。
しかし、ハトの場合は、ハトミルクを与えているせいか、親鳥はそんなに頻繁に
巣に戻ってくることはありませんでした。
カメラを設置した7/23も、15:01にすぐに親鳥がハトミルクを与えにきましたが、
そのあと親が戻ってきたのは、2回だけでした。
夜間は、親は全く巣に戻ることはなく、ヒナだけで夜を明かしているような感じ
です。
また、ハトでは、糞をくわえて遠くに捨てに行く行為を見ることができませんで
した。つまり、ハトのヒナは、糞を巣の下に落とすことになり、我々人間にとっては
糞害となるわけです。
③ハトの巣立ち
巣立ちが近づくと、ヒナは巣の中で、羽ばたきの練習をします。
7/26 10:47 親鳥(♀)がヒナにハトミルクを与えたあと、10:49 1羽の
ヒナが親のあとを追って巣立ちました。
7/26 10:47 親鳥(♀)がハトミルクを与える様子
( ↑ クリックして動画を見てください)
7/26 10:49 その直後、1羽目のヒナの巣立ち
( ↑ クリックして動画を見てください)
ところが、巣立ったヒナは、そのあと4時間後の14:45に、再び巣に帰って
きたのでした。
巣立った直後のヒナは、生徒昇降口を離れません
親鳥は、ヒナが巣立ったあとも、しばらくヒナにハトミルクを与えて世話をする
ようで、もう1羽が巣立たたない限り、巣立った方の1羽は巣を離れられないよう
です。
学校では、生徒が頻繁に行き交う昇降口に巣をしたので、そこを離れない方が
人間に守られることになり、巣立ったヒナにとっては安全です。
ゆえに、単純に食料と安全が保障される巣に戻ったと思われます。
ヒナは、7/31に完全に2羽とも巣立ちました。しばらく、生徒達のいる校舎近くに
留まったあと、いつの間にかいなくなりました。
駆除からハトを救った校務員さんの奮闘と、それに寄り添った私達理系生徒の
期間限定のドバト(カワラバト)子育て観察でした。
Ⅱ ツバメの巣を乗っ取ったスズメの子育ての記録
(理系生物 先輩達の研究継続)
2019年度も、昨年度に引き続き、「コシアカツバメから乗っ取った巣」で
スズメが子育て行いました。冬場もずっと、巣を乗っ取ったスズメは、巣を見回り
続けて、ツバメ達が来る時期にも頻繁に巣の中に入って、陣取ってきました。
子育ては今年も2回確認できましたが、1回目のヒナの確認日は、昨年と同じ
5/6でした。
理系生物の授業で観察をして、5/19にヒナが1羽巣立ちました。
巣立つ寸前のスズメの親子(乗っ取って2年目のコシアカツバメの巣で)
ヒナは巣立とうとしたあと少しためらい、ツバメの巣の奥に一度入ったあと、
一気に巣立っていきました。
ツバメの巣からスズメの巣立ち(←クリックして動画を見てください)
このあと、6/7に小さなヒナが2羽確認されて、2回目の子育てに入ったことが
わかりました。
今年は、文化祭・梅雨のシーズンにカメラを閉鎖しましたが、どうやら子育ては、
昨年と同じで、おそらく2回であったと思われます。
Ⅲ ヤマガラ・シジュウカラ用巣箱の制作と設置
私達理系生徒で、2019年度も本校定番の「ヤマガラ・シジュウカラ巣箱」を
制作して、校庭に設置しました。
これまで先輩達は、巣箱内にカメラを入れて木に取りつけてきましたが、経済的
制約で個数は限られます。そこで、もっと効率よく巣箱内動画観察が運営できる
方法はないかと考えました。春になって、巣箱に鳥が入ったことを確認したあと、
素早く木に登ってカメラを内蔵できるようする工夫を、今回は課題として考えて
みました。
チームワークを発揮して巣箱を制作しています
カメラを取り付ける板を作っているところです。
このパーツは、将来巣箱に鳥が入った時に、
木の上で差し込む部分です
巣箱の設置は、巣箱に鳥が入ったあとに作業がしやすい木を選ぼうということに
なっていたのですが、女子班が選んだ木は、割りと高い木でした・・。
木の上で作業をするのは主に男子になるのですが、みんなで安全確認です
写真ではわかりにくいですが、鳥の入った部屋を開けずに、
あとでカメラだけを差し込めるような巣箱になっています
これから秋冬に、ヤマガラやシジュウカラが巣箱の下見に来てくれるかもしれ
ません。お待ちしてま~す。
おまけ (女子班 記録係Zさんより)
実は、自宅の近くでも、鳥の巣を発見しました!
メジロの子育ては初めて見たので、興味深かったです。
貴重なシーンが見れたので良かったです。
これをきっかけに、もっと他の生き物の子育てについても、調べていきたいです。